REPORT

2003年2月28日
バレエ「白鳥の湖」アドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ
BUNKAMURAオーチャードホールにて


まるで映画を見ているような、演劇を見ているような、しなやかで力強い、すばらしいバレエでした。

クラシックバレエの代表的作品「白鳥の湖」をマシュー・ボーンが現代的に大胆に演出、振付をした作品です。
従来の「白鳥の湖」は、女性ダンサーの踊る主役のオデットや白鳥の群舞が美しいバレエですが、マシュー版では、女性も様々な役で出てきますが、白鳥はすべて男性が踊ります。

クラシックバレエは、決まった様式の中で表現をすることが多いために、物語の内容や表現のスタイルが古く感じることもあるのですが、今回の舞台は、王子や白鳥といったモチーフを踏襲しながらも、衣装やセットなども含め、より現代的な表現の中で、ドラマチックに、スピード感のあるアレンジがされていて、映画を見ているような感覚でした。


第1幕、第2幕

宮殿での生活。その表面的な華やかさとは裏腹に、王子は、家庭のあたたかさや自由に飢え、孤独を抱えている。父親はいないのか、母親である女王は宮殿のいろいろな男にちょっかいを出し、王子は知り合ったガールフレンドともうまくいかず、いつも心が満たされない。

陰うつな気分を酒でまぎらわそうとするが、そんな姿を母親に戒められ、喧嘩になってしまう。

人目をしのんでキャバレーに遊びにいくが、上手くなじめず、酔った勢いでまわりの客達にからみ、とうとう店からほうり出されてしまう。

孤独でいたたまれない王子は、自暴自棄になり湖に身を投げようとするが、そこに、幻のように白鳥の群れが現れる。力強く踊る白鳥達。
その中のひときわ雄々しい一羽の白鳥に、王子は心を癒され、またこの白鳥達の姿に元気付けられ、身投げを思いとどまる。

第3幕、第4幕

上流階級の舞踏会に出席している王子と女王。そこに流れ者風の男が現われる。
挑発的なダンスを踊り、場の注目を集める。
彼に影響されてか、みな、自由奔放に踊りはじめる。

男は王子を挑発するように踊り、女王にもちょっかいを出す。
男にも、そして母親にも笑い者にされた王子は、とうとう銃を取り出し母親に向ける。
逆に警備の者に撃たれるが、その弾丸はガールフレンドにあたってしまう。

牢獄(精神病院?)に閉じ込められ、悪夢に翻弄される王子。
ベッドで横たわる王子の周り(夢?)にまた、白鳥達が現われる。
白鳥の群れにこずきまわされ、たおれる王子。

群れの中の、例のひときわ大きい一羽が、彼を助けようとするが、
群れから、人間の味方をすることをとがめるように制裁をうけ、たおれてしまう。
女王が発見した時には、すでに王子に息はなく、白鳥にだかれ、天にのぼっていく。


ダンス、ダンス、ダンス。ウエストエンドとブローウエイで評価されたトップダンスがここにあります。
王子が、自由と力強さを夢見ながらも、結局、社会と対峙していけずにたおれてしまうのは残念でしたが、舞台は非常にすばらしいものでした。
白鳥は力強さと自由の象徴として描かれており、男性だけの白鳥でなければならなかったのだと思います。

終演後、場内は盛大なスタンディングオベーションに包まれました。

今回、主役の白鳥と流れ者風の男(1人2役)を、アダム・クーパー、ジーザス・パスター、そして、東京バレエ団より抜擢(客演)された首藤康之のトリプルキャストになっており、当日まで誰になるかわからなかったのですが、今回は、このバレエのオリジナルキャストのアダム・クーパーでした。
さすがに存在感が際だっていました。

公演後、ロビーの物販のコーナーはかなりの混雑で、ビデオが売り切れでした。

BunkamuraオーチャードホールHP
Bunkamuraマシュー・ボーン「白鳥の湖」HP
追加情報






この「白鳥の湖」のDVDが、期間限定特別価格2800円(税込2940円)で発売されています(2003.11月1日〜2004.1月31日)。通常価格は6000円で、ブックレットなども含めてこれと全く同じ内容かどうかはわかりませんが、お買得感があります。舞台を撮影した内容ですが、単に客席側からカメラ数台で撮ったものではなく、カメラを移動させたり、舞台の中へカメラを入れたり、可能な限りカメラワークを工夫してあります。お客さんなしでの撮影もしているような印象です。ただ、やはり生の舞台の感動にはかないませんが。

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